私はスタン・ゲッツについて、どのくらい知ってるだろう?
ふと、そう考えてみると、彼の人生について、知っていることは、あまり多くないのでは?
それでも、昔から、よく聴いている、お気に入りのサックス奏者であることに違いはありません。
スタン・ゲッツは白人のサックス・プレーヤーで、どこかクールな音色とテクニックは、とても洗練されていて。
自分がいつから彼のアルバムを聴き始めたかは、正直、あまり覚えてないのです。たぶん、大学の図書館で借りたアルバムがきっかけだったように思うのですが。
それまでは、ビリー・ホリデイや、エラ・フィッツジェラルドなど、女性ジャズボーカルを好んで聴いていたところ、有名なサックス・プレーヤーであるジョン・コルトレーンを聴くようになり。
サックスの音色って温かみがあって、人間臭くていいなあ、と、改めて、サックスに興味を持ち始めたんですよね。
それで、他のサックス奏者のアルバムを探していたところ、ちょうど、スタン・ゲッツが目に留まったのではないかと。
今回は、そんな彼のアルバムについて、個人的なおすすめも兼ねて、少し書いてみようと思います。
まずはグラミー賞受賞アルバムから
スタン・ゲッツのアルバムで、最も有名なものといえば、ボサノヴァの第一人者で、先日、亡くなったばかりのジョアン・ジルベルトとの共作、「ゲッツ/ジルベルト 」ではないでしょうか。
このアルバムはグラミー賞も受賞しましたし、夏になると、今でもよく耳にしますね。
アルバム「ゲッツ/ジルベルト」については、以前、こちらの記事でも紹介しました。
これはヴォーカル入りですし、ボサノヴァの、けだるくスローなリズムもあいまって、とてもリラックスできる、おすすめの一枚です。
ふだんジャズになじみのない方でも、全然大丈夫!と、太鼓判を押しておすすめできるアルバムですね。
ユニバーサル ミュージック (2016-06-29)
クール・ジャズのスタン・ゲッツ入門
私も、昔から、ジャズは好きだけど、それほどマニアックに聴いているほうではなくて。
スタン・ゲッツは、ジャズのジャンルで言えば、一般的にはクール・ジャズと呼ばれているようですが。彼のサックスの音色は、とても都会的で、ときに、切ないメロディを情緒的に歌い上げています。
ジャズのグルーヴが少し苦手、という方でも、こちらのアルバムなら、有名な曲も多く、スタン・ゲッツ入門のような形で聴いていただけるかも知れません。
ユニバーサル ミュージック (2016-06-29)
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1曲目に収録されている「星影のステラ」は、有名なスタンダード・ナンバー。上記アマゾンのページで、試聴もできます。
そういう耳慣れた曲が入っていると、すんなりと入っていきやすいですもんね。
亡くなる直前のライブ名盤を、ぜひ
ジャズは即興音楽ですが、観客を前にしたライブの醍醐味は、スタジオ録音の音源ともまた別物だと思っています。
イヤフォンやヘッドフォンで聴いていると、曲の合間に聞こえてくる拍手や歓声もあいまって、まるで、自分もジャズクラブの席に座って、その場で聴いているかのよう。(実際に、顔を上げると、そこは電車の中だったりするのですが…)
特に、自らの病を押して、亡くなる数ケ月前に、コペンハーゲンのカフェ・モンマルトルというジャズクラブで演奏したライブが、名盤として評判も高い「ピープルタイム」。
もし、スタン・ゲッツの一番好きなアルバムを聞かれたら、私は絶対、これを推しますね。
どこか、これが最後と悟っているかのような、痛みをこらえつつも、切なく震えるようなテナーサックスの音は、心に沁みいります。 そんなサックスに寄り添うような、ケニー・バロンのピアノの音も秀逸。
特に、収録曲の「ファースト・ソング」は、何度聴いても、息が詰まりそうなほど、切なく悲しくて、それでいて、あまりにも優しい1曲。日本人の琴線にも響く音色なのは間違いないと思います。
Mercury (1992-01-21)
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また、亡くなる数年前、同じくコペンハーゲンのジャズクラブ、カフェ・モンマルトルでの演奏を収録した「Anniversary」と「Serenity」も、ともに大好きなライブアルバムです。
私生活ではいろいろな問題を抱え、酒にひどく溺れたりもした時期があったようですが、ジャズファンでなくとも、スタン・ゲッツのアルトサックスの音色に、一度は触れてみてほしいですね。
使い古された言葉かもしれないけれど、名曲や名演奏は、永遠に不滅だと、彼の演奏を聴くたびに思うのです。
これで、もっと認知度が高まればいいな
スタン・ゲッツについての記事をいつか書きたいと思いつつ、なかなか書けないままでいたら、数日前、こちらの書籍が販売になったことを知りまして。
以前から、スタン・ゲッツ推しで有名だったという、村上春樹氏の新刊訳書です。
そして、この本の書評を、ジャズ好きなタモリさんが書いてらっしゃいました。
タモリさんの文章をこれまで拝見したことはなかったのですが、こういう文を書かれる方だったのかと。
この本をきっかけに、もっと、スタン・ゲッツというサックス・プレーヤーの認知度が高まって、ひとりでも多くの方に聴いてもらえるようになればいいなあと。
そんな気持ちもあって、私も今回の記事を書いてみました。
ほんと、もう一度、タモリさんのように、じっくり、スタン・ゲッツのアルバムを聴き直してみたいと思っているところです。