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旅と文具とカフェめぐり

東京限定・色彩雫の深川鼠で江戸の粋を味わう

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東京限定・色彩雫「江戸の粋」シリーズ、深川鼠を買いました。

とはいえ、買い求めたのは昨年のことで、以前から欲しかった東京限定の色彩雫が11月に再販されると知り、購入だけしておいたのですけれど。

手元に届いてからも、入れる万年筆をどれにするか迷っていたりして、本格的に使うようになったのは、今年に入ってからでした。

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「深川鼠」と書いて、「ふかがわねず」と読みます。(色名としては、「ふかがわねずみ」という読み方が多いようです)

薄い青緑みの鼠色、緑みの明るい灰色に用いられます。江戸時代後期に狂歌で活躍した大田南畝は『手鏡模様節用』の中で、「みなと鼠。此のころ流行して"深川鼠"と云ふ」と書き記しています。深川芸者の間で流行ったことから、深川鼠とよばれるようになりました。(きもの用語大全より)

ちなみに、Webカラーコードでは#97A791です。

深川鼠 #97A791

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悩んだ末、色彩雫・深川鼠は、カヴェコのアルスポーツに入れることにしました。

この色味や濃淡を味わうには、太いニブのほうが良いかなと思って。でも、Bニブの万年筆は(残念ながら)持ってないので、手持ちの中では二番目に太い字を書ける、カヴェコに。

前回記事で、カヴェコのミニコンバーター2を買ったことについて書きましたが。

cocoaplus.hatenablog.com

この新しいミニコンバーターをカヴェコに装着してから、深川鼠を吸入したかったので、インク壜を開封するのも遅れたのでした。

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「紳士なノート」こと、アピカのPremium C.D. NOTEBOOKに、深川鼠で書いたページです。

もともと、灰色系のインクとしては、Pen and message.さんの「冬枯れ」を以前から愛用していて、ほぼ日手帳にも、そのインクを入れたkakunoで書くことが多いのですが。

冬枯れは、本当の灰色というか、正真正銘の「グレイ」。

一方、深川鼠は、確かに灰色なんだけど、ほんの僅かに緑がかっているように、私には見えます。

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こういった色味の灰色のインクはあまり見たことないなあ、と。

そして、見れば見るほど、不思議な色だなあ、と。

きっと、白黒だけの世界では表せない、微妙な加減の色合いだと思うんですよね。

言ってみれば、深い森にかかる濃い霧や朝靄。一面、うっすらとヴェールがかかった、灰色の世界のその奥に霞んで見える梢。

ただ、色というのは、あくまで主観的なもので、個人によって見え方も捉え方も変わってくるものですから。

私には、灰色のインクに、水で薄めた緑色のインクを一滴垂らしたように感じられるのですが…

深川鼠とは薄い青緑みの灰色のことです。藍の薄染めは緑がかった青になり、『浅葱(あさぎ)色』とよばれますが、この浅葱の色みをさらに抑えた色が深川鼠です。(「日本の伝統色」より)

といった説明をよむと、え、深川鼠が、あさぎ色(新選組の有名な羽織の色ですね)の仲間なの?と思ってしまいます。ううーむ。

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購入したインクには、購入した日付を箱の裏にスタンプで押しています。(今回は、購入した日ではなく、スタンプを使う機会があったので、箱を開けて、ついでに押した日付ですが。まあ、目安として)

インクは5年以内に使い切ったほうが良いと聞いた気がするので、一応、いつ頃購入したか分かるようにしています。

ただ、いろんなインクに浮気してしまうため、どれも、5年以内になんて使いきれていないのが実情ですが。5年経っても、なかなか減っていないインク壜の中身が変質してないかしらと心配しつつ。

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深川鼠は、四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)の一つと言われています。茶色には四十八の色があり、鼠色には百の色があるという意味です。

幕府によって、派手で豪奢な着物を着ることを禁じられた江戸の庶民が、決して派手ではない茶色や鼠色の染めを、さまざまな色調で楽しみ、やがて、それを「粋」なものとしていったのですね。

そんな江戸っ子たちの生み出した「粋」を、わたしも万年筆で味わっていければと思っています。