前回に引き続き、先日の、四国への小旅行についての記事です。
今回は、高速バスで訪れた高松について、旅日記風に紹介してみますね。
香川県立ミュージアムでイングリッシュガーデンを堪能
徳島で1泊したあと、2日目は高松へ。
電車でも行けるのですが、お値段的なことと、単に私がバスの旅が好きということで、徳島~高松間の往復チケットを買って、高速バスで向かいます。
昔、親戚が高松に住んでいたことがあって、その頃に、家族旅行で栗林公園などを回ったことはあるようなのですが。母によると、そのとき屋島にも行ったそうですが全然覚えていません。(当時はまだ「歴女」ではなかったので、屋島に行った際も、何の感慨も無かったと思われ・・・。7歳くらいだったそうなので)
というわけで、高松には、ほとんど初めて行くようなもの。
しかも、夕方には神戸に帰るバスをすでに予約してしまっていたので、わずか4時間弱の駆け足での高松観光となりました。
まずは、香川県立ミュージアムへ。
こちらで開催中の「世界遺産キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン英国に集う花々」展を見るためです。
ミュージアム前には、イングリッシュ・ガーデンが作られていて。 ジギタリスやイングリッシュローズなど、どの花も、綺麗に咲き誇っていました。
イングリッシュ・ガーデンがテーマである今回の展覧会ですが、もちろん、美術館ですから、生花を飾っているわけではありません。
ロンドンにあるキュー王立植物園が所蔵するボタニカル・アートが展示の中心です。
キュー王立植物園へは、ロンドンから電車で行けるので、ホームステイしていた頃、ロンドン観光の際に訪れたことがあります。
ただ、あまりに広大な植物園のため、そのときは園内を見て回るのが精一杯で。
もし、ボタニカルアートや植物の資料が展示されていても、観光では、そこまで見る余裕が無かったのではないかと。(それでも、半日以上はいたんですけどね。庭園だけでなく、いくつもある温室も回っていると、すぐに時間が経ってしまって・・・)
というわけで、今回は、植物園を訪れても、まず見る時間も無さそうな資料やアートをじっくり堪能できる絶好の機会となったのでした。
緻密なボタニカルアートの展示ですが、そこは250年以上の歴史があるキュー王立植物園です。
ただ綺麗なだけではなく、それらは、大航海時代の頃から、大英帝国が世界の果てまで冒険家やプラントハンターを送って彼らが本国に持ち帰った貴重な植物や、現地でのスケッチであり。
いつ陸地が見えるとも分からない長い航海や、未開の地へ足を踏み入れる危険を冒しながら、死と隣り合わせの苦難を乗り越えて、イギリスにもたらされたものだったわけです。
そういった、綺麗なボタニカル・アートの裏にある歴史も、同時に知ることができる展示内容でした。
そして、イギリスの人々は、遠い南国の地に咲く、あまりに奇妙で鮮やかな色彩を持つ花に驚き、魅了され、これらの絵を通じて、まだ見ぬ南の国に思いを馳せたことでしょう。
今見ても、ゴクラクチョウの花などは、こんな花が存在することの不思議さを実感しますものね。当時の人なら、尚更にその思いは強かったのではないでしょうか。
その後、19世紀に入ると、印刷技術も発展して、これらの植物画が一部のコレクターだけではなく、出版物を通じて、多くの人々に普及することになります。
花の綺麗な色がカラーで再現された、当時の手彩色のぶ厚い書籍も展示されていました。 (手彩色ということは、一枚一枚、色を塗ってたということですよね? 気の遠くなるような作業です)
他には、キュー王立植物園の園長と親友だったダーウィンが実は有名な陶磁器メーカー一族の親戚だった話も、ダーウィン直筆のスケッチや書簡、植物画で飾られた当時の陶磁器とともに紹介されていて(創始者がダーウィンの祖父にあたります)、世間は広いようで狭いんだなあ、と思ったり。
また、今でこそ、イングリッシュガーデンといえば、ボーダー式ガーデンがメインとなっていますが、それを考案した女性造園家ジーキルの庭のスケッチや彼女の自宅のお庭の映像も紹介されていて。
植物画が主な展示内容ですが、その後のイングリッシュガーデンや英国クラフトの作品展示もありました。
もちろん、私が大好きなウィリアム・モリスの作品も。20世紀初頭に作られたワンピースのサマードレスがモリスによるテキスタイルのもので、 私が持っているミニバッグと同じ柄だわ!と。(「イチゴ泥棒」というデザインです)
一昨年、東京に行った際に、三菱一号館美術館のミュージアムショップで買い求めたものですね。
思いがけず、モリスの作品とも出会えましたし、予想以上に楽しめる展覧会で、わざわざ時間をかけて、高松まで足を伸ばした甲斐がありました。
シャビーな波止場の倉庫跡カフェでランチ
そのあとは、海沿いのフェリー乗り場を通り過ぎながら、高松築港そばの古い倉庫の跡地に作られた北浜alleyへ。
潮風を受けて錆びた倉庫の外観そのままに、中にはいくつもの雑貨店やカフェが入っています。
シャビーでブロカントなもの大好きなので、こういった雰囲気は大好きです。
ランチは、北浜alley内のカフェ、umieで頂くことに。
2階にお店があるのに、どこから入るか分からなくて、うろうろしていると、関係者用の車が駐車されてるガレージの奥から階段を上がるとか、いかにも隠れ家カフェ的でいいですね。
高松駅前の郵便局で、母や妹に送るフォルムカードを購入していたので、カフェで一筆したためて。
(高松で美術館に行くと聞いた母は、てっきり、美術展の綺麗な絵ハガキが送られてくるとばかり思っていたら、「うどん」が届いて、びっくりしたとか。ガーデニング大好きな母で、一緒にイギリスのガーデンを回ったこともあるので、イングリッシュガーデン展のハガキにしておけば良かったかな?)
こちらのカフェで頂いたのは、焼きベーグルとクラムチャウダー。 瀬戸内海に面した海の街だし、何となくクラムチャウダーの気分だったのです。
他にも、オリジナルのせとうちスコーンなどもあって、どうしようか迷ったのですが。(お土産に買って帰れば良かった!)
お土産は讃岐和三盆たっぷりのバームクーヘン
そのあとは、琴電にも乗ってみたかったので、ひと駅だけでしたが乗車して、丸亀商店街へ。
高松に本店があるこちらのスイーツが欲しいなあ、と思っていたお店が三越に入っていたので、自宅用のお土産に買って帰りました。
ラ・ファミーユさんです。
(自宅で頂く前に写真を撮っておきました)
こちらの黄金バームクーヘンは、讃岐和三盆をはじめ、四国の素材をふんだんに使って焼き上げられたもの。
他にも、屋島近くの八栗寺がある山から名前をとったバームクーヘン「五剣山」も、お土産に買い求めました。山型に、ぎざぎざしたバームクーヘンなのです。
どちらも、休日のおやつに頂きましたが、和三盆の優しい甘みがふんわりと美味しいバームクーヘンでした。
トラベラーズノートに旅の記録を
バームクーヘンを味わったら、高松の旅の記録もトラベラーズノートに書き込んで。
こうして、帰宅後、トラベラーズノートにまとめることで旅の思い出も、また違った形で刻み込まれるというか。
旅先での、いろいろなことを思い返しながら、自分の言葉で書き留めるので、急ぎ足の旅をゆっくり振り返る良い機会にもなります。
高松観光について事前に調べていた際、金比羅さんにも、直島にも行きたくなり、他の交通機関のスケジュールを調べて新幹線の乗り継ぎなど、あれやこれやと検討はしてみたのですが。
今回は時間の余裕が無かったため、さらに足を伸ばすのは諦めて、美術展を見に行くことがメインのバスの旅になりましたが、これはこれで満足です。
また別の機会に、次こそは、のんびりと香川県をめぐる旅を計画してみたいですね。