冬の音楽といえば、クリスマスソングが多いかも知れませんが、早いうちに、とっぷりと日が暮れてしまう真冬にこそ、カーテンを閉めた暖かなお部屋で、ゆったり音楽を聴きたいもの。
そんな「冬の夜長」に、私がよく聴いている音楽を、お気に入りのジャズアルバムを中心に、ご紹介してみますね。
ディズニーの名曲をしっとりした歌声で
小林桂『星に願いを』
つい、「小林くん」と親しみを込めて呼んでしまう、小林桂くんは19歳でデビューしたジャズ・ヴォーカリスト。
デビュー前にインディーズで出したアルバムからメジャーデビューして以降も、ずっと彼のアルバムは聴き続けているので、本当に長いお付き合いです。
そんな彼も、30歳を過ぎまして。さらに、深みのある大人の歌声を聴かせてくれます。
アルバム『星に願いを』は、皆さんお馴染みのディズニー音楽
をジャズテイストにアレンジした一枚。
「星に願いを」のほかに「チムチムチェリー(メリーポピンズ)」や、「ビビディ・バビディ・ブー(シンデレラ)」なども収録されています。
特段、冬に関係ある曲が入っているわけでもないんですが、アルバムタイトルにもなっている名曲「星に願いを」を聴くたび、蒸し暑い夏の夜空というより、どこか冷たい夜気の中、冬の夜空に煌く星を見上げた光景が、いつも思い浮かんで。
まるでビロードのように優しく包み込んでくれる小林くんのハスキーな美声に酔ってみてくださいね。
また、『SCENES』というアルバムでは、有名な映画音楽ばかりを歌っていて、とくに「ひまわり」のメインテーマは切ないほどです。こちらも、おすすめの一枚。
スタイリッシュなニューヨークの夜を
『ビギン・ザ・ビギン』ニューヨーク・トリオ
ニューヨーク・トリオは、もともと、ジャケ買いならぬ、ジャケレンタル(TSUTAYAでジャケットを見てレンタル)したのがきっかけでした。
「ニューヨーク」の名にふさわしい、都会的なスタイリッシュな音で、とても聴きやすいアレンジが特徴のジャズトリオです。
日本で発売されているアルバムのほとんどを持っているくらい、(とはいえ、全部レンタルですが)昔から、好みの音なんですよね。
こちらのアルバム・ジャケットは水着姿の女性なので、全然冬らしくないのですけれど、1曲目の「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」がコール・ポーター作詞作曲の大好きな曲なので、選んでみました。
アルバムに収録されているものはインストゥルメンタルですが、「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」の歌詞に
Under stars,chilled by the winter
という一節があって。
「星々の下、冬の寒さに震えても」というような意味でしょうか。(このあと、8月の燃えるような月の下でも、と続くので厳密には、冬の歌ともいえないんですけど)
他にも、
You'd be so nice by the fire
という歌詞が冒頭にあって。 「暖炉のそばで君と過ごせたら、どんなに素敵だろう」と歌っているので、やっぱり、私の中では冬のイメージが強い曲なんです。
冬の夜、という言葉から連想するなら、ニューヨーク・トリオには、『夜のブルース』という名盤もあります。まさに、これらのアルバムは、大人の夜の過ごし方にはぴったりです。
ちなみに、小林くんも「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」を『So Nice(ソー・ナイス)』というアルバムで歌っています。(もちろん、アルバムタイトルはこの曲の歌詞から取ったもの)
当時、小林くんがこれを歌ったのは20歳!
その若さで、この深い表現力には、本当に驚かされました。
ウッドベースの音色に包まれる冬の夜
『I'M STILL HERE』キヨシ・キタガワ・トリオ
今回、クリスマスソングじゃない、冬に聴く音楽について書くにあたって、まず思い浮かんだのが、このアルバムのジャケットでした。
真冬のニューヨーク。肌寒そうな裏通りを肩をすくめ気味にウッドベースを抱えて歩く北川さんの姿です。
ジャケットのイメージもあって、真夏よりも、むしろ真冬の夜、暖かな部屋でゆったりと聴きたい一枚として、私の中では位置づけられています。
ウッドベース・ピアノ・ドラムという、シンプルな3ピースで演奏されるのは、濃密でありながら、美しいメロディの数々。その音は、どこか、ドライでストイックなニューヨークの風景とも重なります。
北川潔さんが奏でる、温かみのあるウッドベースの音色にぜひ浸ってみてくださいね。
試聴はこちら→ 【澤野工房】I'M STILL HERE/キヨシ・キタガワ・トリオ
さいごに
冬の音楽の代名詞とも言える「雪」がつく曲は一曲もありませんでしたが、まあ、そういうのは、逆に、J-POPでもよく取り上げられてますもんね。
自分なりのこだわりで、冬にぴったりだと思う曲を選んでみました。そういうアルバムを皆さんも、探してみてくださいね。