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旅と文具とカフェめぐり

ラファエル前派展とザ・ビューティフル展

前回に引き続き、今回の「東京&鎌倉文具女子旅」レポートは、ミュージアム巡りです。

2月という、この寒い時期にわざわざ東京へ行ったのは、六本木ヒルズの森アーツセンターで開催中の『ラファエル前派展』を見るためでした。

ラファエル前派展で大好きな絵と再会

「ラファエル前派」とは、ラファエロこそが正統な美術だとする当時の美術界の常識を覆し、ラファエロ以前の美術に立ち戻ろうと、19世紀半ばのイギリスで起こった芸術運動の一派です。

私が初めて、ラファエル前派の作品を見たのは、かなり昔、イギリス旅行の際に訪れたテート美術館でした。

当時はまだラファエル前派という言葉も知らず、この絵とても綺麗だな~と、一人で長い時間、お気に入りの絵の前に佇んでいたのが、まさに今回の展覧会の一番のみどころでもある、ジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」や、ロセッティの「プロセルピナ」、ウォーターハウスの「シャロットの姫」。

これら、アーサー王物語やシェークスピアなどに題材を取った絵は、どこかロマンティックでありながら、儚げでもあって。

その不思議な魅力に惹きつけられたのかも知れません。

残念ながら、ウォーターハウスの絵は出品されていませんでしたが、ロセッティは大好きな画家だし、国内では東京のみで開催という、この展覧会をどうしても見に行きたかったのでした。

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こちらの表紙がウォーターハウスの「シャロットの姫」。これも見たかったなあ。

久しぶりに再会した「オフィーリア」や「プロセルピナ」は、以前見たときと変わることなく、とても綺麗ではかなげで。

会場内でも、その絵の前に何度となく立ち戻ってきては、またしばらくの間、じっと見つめてしまったり。

トラベラーズノートにまとめておきました

旅行から帰宅後、「ラファエル前派展」のページをトラベラーズノートにまとめてみました。

せっかく当日券を買ったのに、チケットの図柄が大変残念な・・・。まあ、こういうこともありますよね。

気を取り直して、次の展覧会にいきましょう。

日々の暮らしに美を求めて

ラファエル前派展とリンクするように、三菱一号館美術館で開催されていたのが『ザ・ビューティフル展』です。

19世紀後半の英国。ラファエル前派と同時期に起こったのが、芸術とは美しいものである、という理念のもとに、「芸術のための芸術」を追い求めた、唯美主義運動でした。

画家たちが始めた唯美主義は、やがて建築家やデザイナーにも広がり、暮らしや生活の中に美しいものを取り込もうという「ハウス・ビューティフル」へと発展していきます。

そのため、この『ザ・ビューティフル展』では、絵画だけではなく、建築や工芸品、家具など、さまざまなジャンルの作品が展示されていました。

もともと、ウィリアム・モリスが大好きなので、こちらの展覧会では、モリスの美しい壁紙を見ることができたり、以前、汐留ミュージアムで見たウィリアム・ド・モーガンの美麗なタイルにもお目にかかったり。とにかく美しい調度品の数々に、ただただ、うっとり。

建築も好きなので、唯美主義のパトロンさん(めちゃくちゃ大金持ち!)の、華麗な装飾を施したお屋敷の細かい図面なども興味深く見ることができました。

今回の展覧会では、ヴィクトリア&アルバート博物館所蔵作品を中心に、140点の作品が展示されているとのこと。

以前、イギリス旅行でV&A博物館を訪れたときに、ウィリアム・モリス展を見ているのですが、とにかく所蔵品が膨大なV&A博物館ですから、今回の展示も、今までに見たことの無い作品が大半で。

そして、こちらの三菱一号館美術館は、まさに、本国イギリスで唯美主義運動が最盛期を迎えていた頃、イギリス人のジョサイア・コンドルによって設計された、明治の代表的な洋館なのですから。(丸の内周辺の洋館建築については、次の記事にいろいろ書いています)

日本国内で、これほど、この展覧会を開催するにふさわしい美術館も無いかも知れません。

三菱一号館美術館には、ちょうど半年前、夏の東京旅行の折に初めて訪れたのですが。このときは浮世絵の展覧会を見に行ったんですよね。

赤レンガ造りのレトロな建物という、三菱一号館美術館ですが、展示方法もとても凝っていて、暖炉のある小部屋をいくつも巡りながら美術鑑賞できるというスタイルは、まるで、洋館探検をしているかのよう。

そして、今回は英国唯美主義の美しい作品や家具、装飾に囲まれて、美をじっくり堪能できる、最高のひとときとなりました。

ミュージアムショップでおみやげを

こちらが、ミュージアム・ショップで買ってきたものの一部です。

これは『ザ・ビューティフル展』のミュージアム・ショップで買い求めた一筆箋ですが、これがまたステキなデザインなのでした。(Instagramのほうに、中身と合わせて写真をアップしています)

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紅茶はイギリスのRingtonsのもの。日本では英国リントンズ紅茶専門店・リントンズ・ジャパンが販売しています。

リントンズは、100年ほど前から、各家庭に馬車で紅茶を配達していたという、「宅配」紅茶ショップ。現在はリントンズバンという車で、イングランド北部とスコットランドで紅茶を宅配しているそうです。イギリス&紅茶大好きな私も、まだ飲んだことがない紅茶だったので、頂くのが楽しみです。

そして、ウィリアム・モリスが大好きなので、こういうのを見ると、もう買わずにいられないというか。

ブックカバーなのです。美しすぎて、このまま飾っておきたい・・・。

もし、最高に理想の住居があるとすれば・・・部屋はウィリアム・モリスの壁紙で一面に飾られていて、バスルームにはウィリアム・ド・モーガンのタイルも貼ってあって、エドワード・バーン=ジョーンズのアーサー王関係の絵やタペストリがかけられていて、ウィリアム・モリスと共作のステンドグラスがあれば言うことわ~、というほど好きです。モリスの壁紙は、今もお高いので、小物で我慢していますが(^^;

ミュージアム・ショップでは、図録代わりにこちらの雑誌も買ってきました。

芸術新潮 2014年 02月号 [雑誌]
新潮社 (2014-01-25)

ラファエル前派と唯美主義など、ヴィクトリア朝時代の英国の美が満載です。個人的には、少女マンガとラファエル前派との関係についての対談を読みたくて。
萩尾先生とか森川久美先生とか、魔夜先生のお名前も出ていて。まさにラファエル前派は、少女マンガへと通じる美、だったのですね・・・!

トラベラーズノートに書いてみました

帰宅後、『ザ・ビューティフル展』について、トラベラーズノートにまとめたページです。

やっぱり、入場チケットはこのくらい豪華であって欲しい。

大好きなイギリスの、大好きな時代の、大好きな作家たちの作品をいっぱい見ることが出来て、東京までわざわざ来た甲斐がありました。

2つの展覧会で、英国の美をたっぷり堪能できた一日でした。

ミレイの「オフィーリア」がきっかけで読んだミステリ

ところで、ジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」は、海外ミステリー小説の表紙にも使用されていたんですよ。

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【講談社文庫】死より蒼く 価格:979円(税込、送料別)

私が以前書いたブックレビューから、御紹介してみますね。

これはズバリ、表紙買いでした。何と言っても、大好きな絵が表紙でしたから。
今日、本屋で見つけて、良いなと思い、そのまま買って帰り、一日で読んでしまったわけですが。
表紙は単なるイメージではなく、ラファエル前派も大いに関わってきます。
主人公は系図学者のナターシャ。
彼女は、この「オフィーリア」の絵を真冬の川で再現した写真のモデルになった若い女性、ベサニーから、自分の先祖の調査を依頼されます。
しかし、その直後、ベサニーは行方不明に。
彼女が祖母から受け継いだという大事な日記を恋人の元に残したまま。ナターシャは、その日記を手がかりに、彼女の祖先を探ろうとするのですが・・・?
国勢調査報告書や出生記録簿など、過去の資料を駆使しながら、家族の系図を辿っていく系図学者が探偵役の異色ミステリー。
ナターシャの住むコッツウォルズの風景や生活も、とても繊細に描かれていて、大いなる過去や、イギリス美術、そして冬のイギリスにも浸れる一冊でした。 今回の展覧会では、初めて、ラファエル前派の美しいモデルたちの写真を見ることが出来て、おお、これが、あの小説にもでていた・・・と、思ってしまいました。

ラファエル前派って実は、昼ドラ顔負けの、愛憎絡みまくりのモデルと画家たちの人間関係も面白くて、小説では、その辺にも触れていました。

久々に、また読んでみたくなりました。