京都のカフェでは、独特の空気感を感じることがあります。先日の京都旅行で訪れた、こちらのカフェでも、それは同じでした。
バナナの木が目印です
京都市役所前で地下鉄を降りて、車の往来も多い繁華街から、角を曲がるとすぐに、 古い家屋が立ち並ぶ、昔ながらの細い通りへ。
新しい建物もあるけれど、京都ならではの風情が残る町並みに、ある意味、古い町屋には不似合いとも思える、大きなバナナの木がにょきにょきと空を向いて植わっている一角が。
こちらはCafe Bibliotic Hello!さん。
以前から、訪れてみたい京都のカフェのひとつだったのですが、なかなか、伺う機会がなくて。
先月号のCasa BRUTUSのカフェ特集でも、京都のおすすめカフェとして紹介されていたので、今回、行ってみることにしたのです。
店内に入ると、まず目に入るのが、吹き抜けの高い天井まで届くほどの大きな本棚。 壁一面を覆うその本棚には、ぎっしりと本が並んでいます。
カフェの名前の「Bibliotic」とは造語だそうですが、図書や本にちなんだbiblioという語が含まれているだけあって、まるで、京都の町屋に突如現れた、南国の図書館みたい。
とはいえ、今回は本棚近くの席ではなく、裏の坪庭を望む奥の席に座ることに。
横長テーブルが、天井まである大きな鏡に写っていて、それだけで、とても広い空間に見えます。
そして、窓越しに見える坪庭にも、ひょろっとしたバナナの木が。少しくすんだプラムレッドの壁とあわせて、ここが町屋だということを忘れてしまいそうです。
こちらで私が頂いたのは、カフェオレとデコポンのフルーツタルト。
今なら、ラージサイズも同じお値段ですよ、ということでカフェオレはたっぷりサイズのカップで頂いてみました。
デコポンのフルーツタルトも、さっぱりとした爽やかな甘みがとても美味しくて。(誕生日が近かったこともあり、バースデーケーキ代わりとなりました)
京都のカフェが、他の町のカフェと違うように感じるのは、明治時代に建てられたという、こちらの町屋のように、歴史の中にさりげなく日常が溶け込んでいる様子が、あまりに自然で(バナナの木でさえ!)。
カフェオレを頂きながらも、現代の早い時間の流れとはまた別に、底辺を静かにたゆたうように流れ続けるもの、とても懐かしい気持ちを呼びおこしてくれるものに触れたように思う瞬間があって。
遠い過去の記憶のよう、とでも言えばいいのでしょうか。
それは、町角の石碑や、町屋の古い柱や、長いときを経た佇まい、さまざまなところで、古都の歴史を肌で感じるからかも知れません。
京都ならではの名前がつけられた細い路地を歩きながらカフェへたどり着くまでの道すがらも同様で、すでにそこから、歴史への時間旅行は始まっているのですから。
トラベラーズノートに書いておきました
帰宅後、頂いて帰ってきたカフェカードをトラベラーズノートに、ぺたりと貼って。
カフェのお隣は窯を併設したベーカリーになっていて、そちらで焼きたてのパンをお土産に買い求めて帰りました。
次に行ったときには、大きな本棚の近くの席に座って、ゆったりと読書しながら、京都での時間を過ごしてみたいなあ。