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旅と文具とカフェめぐり

奄美を旅する・前編~マングローブの森へ

前回記事では、奄美で訪れた美術館のことを書きましたが、今回は、奄美の旅日記・前編をお送りします。

それまで私にとって、人生の国内最南端といえば熊本だったのですが、鹿児島中心部もすっ飛ばし、いきなり奄美大島まで来てしまいました。

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大阪出発だと、奄美への飛行機は一日一便しか飛んでいなくて。

ちょうど前の週には、5月というのに台風が来ていたこともあり、もし、飛行機が飛ばなかったらどうしようかと心配したときも。でも、そんな心配をよそに、奄美に無事たどり着けてよかったです。

奄美空港からは、空港バスで終点のホテルまで。空港バスは、奄美の主な観光地を通りながら、中心地の名瀬市内まで60分かけて走っています。

初日と二日目の午前中は、一人旅だったので、バスに大変お世話になりました。

空港バスの中から驚いたこと

空港バスで空港を出発して、まず驚いたのが、なにより、奄美の植物群でした。

バスの車窓から外の景色を眺めていると、目を奪われたのが、真っ青な海よりも、ただ、その辺に生えている木や草。

南国の島といえば、ハワイには行ったことがあるけれど、ハワイとも全然違う、まったく見慣れない植物が、道端に雑草として生えていたり、遠くの山に生えてる木も、見たことのない種類の木が多くて。

なんだここは?!というのが、奄美の第一印象でした。
(綺麗な海といったイメージは、すでにありましたから・・・)

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「東洋のガラパゴス」とも言われている奄美大島ですが、正直、ここまで、ユニークな植物ばかりとは思っていませんでした。

地元の方にとっては、普通の「雑木林」なんでしょうけれど、その辺に植わってる木が、あまりに本州と違いすぎて。

そのため、植物学者さながらに、山林を眺めるだけでも興味津々で、十分楽しめてしまいました。

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マングローブの森へ

ホテルに荷物を置いたら、マングローブの森へ路線バスで向かいました。 名瀬からは、約25分のバスの旅。

名瀬の中心地を離れるとすぐ、緑の山々が広がる中をバスが走っていくので、まだまだ、見るもの全てに物珍しさもあいまって、プチ旅行気分。

奄美南部にあたる場所には、マングローブの森が広がっていて、いくつかの施設でカヌー体験ができます。

私が訪れたのは、道の駅にもなっている、マングローブパークでした。

以前、北海道で、主人と二人で乗ったカヤックを湖で漕いだことがありますが、カヌーに乗るのは初めて。(そのときは、往復2時間ほどのコースで、帰りはすっかり疲れ果て、漕ぐのはほとんど、主人にまかせっきりだった覚えが・・・)

そんなこともあり、一人だと、どんなに疲れても、自力で漕がないと帰ってこれないのが少し不安でしたけれど、結局、一人乗りカヌーに乗ることに。

でも、初心者でもオールの動かし方を少し教われば、すぐに一人で漕ぐことができました。(むしろ、二人乗りカヌーに乗ってる人たちのほうが、うまく二人のオールの動かし方がかみ合わなくて、大変そう)

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漕ぎ方を教わったら、引率のガイドさんとともに、カヌー体験に出発です。 午後4時スタートの、この日の最終グループでした。 あいにく、空はどんより曇ってくる一方で、一応、お借りした雨具もカヌーの中に。

この川は、汽水域になっていて、海の水が混ざっているため、潮の干満によって、水量が変わってきます。

水量が少ない時間帯だと、オールが川底に当たってしまうからか、漕ぎにくいのだとか。

逆に水量が多いと、マングローブの根元が水面下に隠れてしまうので、満潮のときは、いかにもマングローブの森、といった景色にお目にかかることができないようです。

私がカヌー体験をしたのは、満潮に向けて、ちょうど水量が増えてくる時間。

一つ前の組は、まだ干潮の時間だったからか、干潟に上がったせいで、帰り着いたときには、足元が泥だらけになっていました。(私たちの組も干潟に上がるかも、と言われて、全員、借りたサンダルに履き替えていましたが、結局、上がりませんでした)

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川をカヌーですれ違うときには、山道でのように、見知らぬ同士でも「こんにちは」と気軽に挨拶をかわしたり。

細い水路に入ると、交通整理が必要なほど、カヌーが双方向で行き来するため、ぶつかりそうになったら、相手のカヌーを手で押して離してあげたり。

マングローブの木というものはありません

ちなみに、「マングローブの森」と一般的に言われていますが、実際、マングローブという名前の木が存在しているわけではありません。(ガイドさんに聞いた話です。これは私も知りませんでした)

マングローブと言われて、まず私たちが思い浮かべる植物は、正式名称ではオヒルギやメヒルギといった植物にあたります。

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マングローブとは、熱帯や亜熱帯の、潮の干満がある湿地や干潟に生息する樹木群の総称のことだそうです。

言ってみれば、「ジャングル」という木の種類は存在していなくて、熱帯森林の総称にあたるのと同じようなものなのかな?

この川は汽水域ですから、水には塩分が相当含まれているはずですが、オヒルギやメヒルギは、塩水を濾過しながら吸い上げて、塩分が溜まった葉は落葉させて、それがまた腐葉土となり、育つ際の養分になるのだとか。 すごい仕組み!

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(水面から、ちょこんと顔を覗かせる形で成長しかけたオヒルギかメヒルギの幼木が見えているのが可愛かったです)

奄美に来た醍醐味を味わうためにも、こちらのマングローブカヌー体験は、ぜひやってみたいと思っていましたが、本州では見ることのできない自然をアクティブに体感できて満足です。

一人乗りカヌーも、予想していたほど疲れることもなく、一時間のカヌー体験は、あっという間に終わってしまいました。

ちょうど、出発する直前から、空には黒い雲が出てきて、雨が降りそうな気配だったけれど、結局、降ることもなく。

カヌー発着所に帰りつく頃になって、ようやく青空が見えてきて太陽が眩しく照り付けてきて。これが一時間ずっと続いていたら、きっと水上で日焼けしてただろうなあ。(とりあえず、日焼け止めを塗って、サングラスも持ってましたが・・・)

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本当に遠いところまで来ちゃったんだなあ、としみじみ

マングローブパークから、さらに路線バスで西南へ向かうと、隣の加計呂麻島に渡る船が出ている古仁屋港へ向かうことができます。

「端っこ」が好きなので、バスでさらに島の端へ行ってみたかったのですが、下手すると、帰りのバスが無い状況になりそうだったので、諦めました。 (さらに遅いバスの便があれば、きっと行ってたかと・・・。島の端っこで、水平線の向こうに沈んでいく夕陽を眺めたかったんです)

マングローブパークの停留所で、帰りのバスを道路の路肩で一人待っている間、すっかり晴れ渡った青空と、鬱蒼と茂る雑木林の奇妙な形をした葉をぼーっと眺めながら、時々、どこかから聞こえてくる、甲高い鳥の鳴き声を耳にしていると、本当に遠いところまで来ちゃったんだなあ・・・と改めて、しみじみ感じ入ってしまいました。

もう、この日の予定をすべて終えて、今更ながらに、この状況を振り返る余裕が出てきたんでしょうね。無事に奄美にも着いて、カヌー体験も終えて。

バスの旅だと、無駄な待ち時間が出てしまうのは仕方ないことだけど、待っている間も、こんな風に、その土地に身を置いて、じっと耳を澄ませたり、周囲の景色をゆっくり眺めたりして、立ち止まって考える余裕ができるのは、逆に良いことなのかな、と。

慌しい旅先では、なかなか、そんな時間は持てないですもんね。

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これは、田中一村の絵にもよく出てきた阿檀(アダン)の木。

原産地は奄美から沖縄だそうで、マングローブパークのほか、奄美のあちらこちらで、目にすることができました。

奄美の旅日記は、後編に続きます。

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